
「なんとなく使っているけれど、本当に合ってるのかな?」
そんなふうに感じる日本語の表現って、実はたくさんありますよね。
今回は、その中でも特によく使う表現「傾向がある」と「傾向にある」の違いについて、わかりやすく整理してみました。
どちらも似たような意味に見えますが、実は微妙なニュアンスの違いがあるんです。
今回は、それぞれの意味や使い方を整理しながら、使い分けのポイントを解説します。
最後には、実践クイズもご用意していますので、ぜひ楽しみながら学んでみてくださいね。
そもそも「傾向」ってどんな意味?
まずはベースとなる「傾向」という言葉の意味を確認しておきましょう。
傾向(けいこう):ある方向や状態にかたよりやすい性質や流れのこと。
たとえば、
- 最近の若者は車に興味を持たない傾向がある
- 円安が続く傾向にある
など、何かがどうなりやすいか、どんな流れにあるか」といった状況を説明するために使われます。
「傾向がある」とは「〜しやすい」ということ
「傾向がある」は、もっとも一般的な形で、日常会話から文章まで幅広く使われます。
ある人や物事に、ある種の性質・特徴が見られるときに使うのが特徴です。
【例文】
- 彼は何事にも慎重すぎる傾向がある。
- この病気は女性よりも男性に多く見られる傾向がある。
- 最近の子どもは運動不足の傾向がある。
「〜しやすい」「〜になりがち」と言い換えられる場合は、たいていこの形で自然に表現できます。
「傾向にある」は変化の途中
一方の「傾向にある」は、やや形式ばった表現で、文章としての硬さや客観性が求められる場面でよく使われます。
こちらは、「状態や現象が、ある方向に向かって進行している」というニュアンスが強めです。
【例文】
- 日本の人口は減少傾向にある。
- 円高の影響で、輸出は減少傾向にある。
- 世界的に気温は上昇傾向にある。
つまり、「〜してきている」「〜が進んでいる」といった変化を表すときに使うのが自然です。
「傾向がある」と「傾向にある」の使い分け
ざっくりまとめると、以下のように覚えておくと便利です。
比較項目 | 傾向がある | 傾向にある |
---|---|---|
印象 | 日常的・口語的 | 形式的・分析的 |
対象 | 性格・性質・傾き | 状態・現象の進行 |
言い換え | ~しやすい、~になりがち | ~してきている、~が進んでいる |
例文 | 「彼は遅刻しがちな傾向がある」 | 「通勤時間帯の混雑は悪化傾向にある」 |
また、「〜する傾向にある」は、文法的にはやや不自然で、一般的には「〜する傾向がある」のほうが自然に聞こえます。
実践!「傾向がある」「傾向にある」使い分けクイズ(5問)
さて、ここまで理解したところで、ちょっとしたクイズで腕試ししてみましょう!
以下の文に当てはまるのはどちらでしょう?
【第1問】
B. 傾向にある
【第2問】
B. 傾向にある
【第3問】
B. 傾向にある
【第4問】
B. 傾向にある
【第5問】
B. 傾向にある
答えと解説はこちら!
【第1問】B. 傾向にある
→ 高齢化という進行中の現象を示しているため、「傾向にある」が自然です。
【第2問】A. 傾向がある
→ 慎重すぎるというのは性格的な傾きなので、「傾向がある」が合います。
【第3問】A. 傾向がある
→ 運動不足という状態になりがちという意味なので、「傾向がある」を使います。
【第4問】B. 傾向にある
→ 気温が上昇しつつある=進行している現象なので、「傾向にある」が適切です。
【第5問】A. 傾向がある
→ この薬の性質として「眠気を引き起こしやすい」ことを述べているため、「傾向がある」が自然です。
まとめ
「傾向がある」と「傾向にある」は、どちらもよく似た言葉ですが、使い方には微妙な違いがあります。
- 「傾向がある」:人や物に備わっている“性質”や“特徴”に対して使う。
- 「傾向にある」:現象や状態の“進行”や“流れ”を客観的に表現する。
文章を書くとき、どちらを使うかで文章の印象が変わることもあります。
ぜひ、今回の内容を自分の言葉でノートにまとめ直したり、日々の言葉選びに役立てていただけたら嬉しいです。