「ダントツの1位を獲得!」

ライティングをしていると、こんなフレーズをさらっと書いてしまうことがあります。

でも、ちょっと待って。

「ダントツ」は「断然トップ」の略。

つまり、すでに「1位」という意味が含まれているんです。「ダントツの1位」は、「断然トップの1位」——同じ意味を二回言っていることになります。

こういった二重表現(重言・じゅうごん)は、知らずに使っているとライターとしての信頼性にも関わってきます。

でも安心してください。気づけば直せます。そして、気づいた瞬間から「言葉を見る目」がぐっと鋭くなります。

今回は、ライターがうっかりやりがちな二重表現を、シーン別にまとめました。

① 日常会話でよく使う二重表現

まずは、話し言葉でも文章でも、気づかないうちに使いがちな表現から。


「まず最初に」

「まず」も「最初に」も、どちらも「いちばんはじめ」を意味します。「まず」だけ、または「最初に」だけで十分です。

❌ まず最初に自己紹介をします。
✅ まず自己紹介をします。


「一番最初」「一番最後」

「一番」も「最初・最後」も、順番の極点を表します。どちらか一方で意味が完結します。

❌ 一番最初に思いついたアイデアが、結局いちばんよかった。
✅ 最初に思いついたアイデアが、結局いちばんよかった。


「後で後悔する」

「後悔」という漢字の中に、すでに「後で悔やむ」という意味が入っています。「後で」は不要です。

❌ 後で後悔しないように、よく考えて決めよう。
✅ 後悔しないように、よく考えて決めよう。


「お互い同士」

「お互い」は「双方が同じ立場で」という意味。「同士」もほぼ同じ意味を持ちます。

❌ お互い同士で助け合うことが大切です。
✅ お互いに助け合うことが大切です。


「各自それぞれ」

「各自」は「それぞれの人」という意味なので、「それぞれ」は重複します。

❌ 各自それぞれで準備をお願いします。
✅ 各自で準備をお願いします。


② ビジネス・文章で要注意な二重表現

ライティングの現場でよく登場する表現です。クライアントへの納品物や、信頼性が問われる記事では特に気をつけたいところ。


「従来から」

「従来」はそれだけで「以前から、もともと」という意味を持ちます。「から」をつけると重複します。

❌ 従来からの方法を見直す時期が来ています。
✅ 従来の方法を見直す時期が来ています。


「約〇〇名ほど」

「約」も「ほど」も、どちらも「おおよそ」という意味の副詞・助詞です。一方で十分です。

❌ 参加者は約50名ほどでした。
✅ 参加者は約50名でした。


「過半数を超える」

「過半数」はすでに「半数を超えた数」を意味します。「を超える」をつけると意味が二重になります。

❌ 過半数を超える賛成票が集まった。
✅ 過半数の賛成票が集まった。


「被害を被る(こうむる)」

「被る(こうむる)」は「害や損失を受ける」という意味の動詞。「被害」という名詞と組み合わせると意味が重なります。

❌ 台風で大きな被害を被った地域もあります。
✅ 台風で大きな被害を受けた地域もあります。


「違和感を感じる」

これはライターさんが最も書きがちな二重表現かもしれません。「違和感」は名詞ですが、「感」という字がすでに「感じること」を含んでいます。

❌ そのデザインに違和感を感じた。
✅ そのデザインに違和感を覚えた。
✅ そのデザインに違和感があった。

※ただし、近年は「違和感を感じる」を慣用表現として認める辞書も増えてきています。どこまで厳密に守るかは、媒体や読者層によって判断してもよいでしょう。

③ 外来語・漢字が原因の二重表現

語源を知らないと気づけない、少し上級な二重表現です。


「チゲ鍋」

「チゲ」は韓国語で「鍋料理」そのものを指す言葉。「チゲ鍋」は「鍋鍋」になってしまいます。……とはいえ、日本語として定着しているので、一般記事での使用は問題ないとされています。

「サハラ砂漠」

「サハラ」はアラビア語で「砂漠」を意味します。「サハラ砂漠」は「砂漠砂漠」。でも、これも固有名詞として定着しているため、通常の記事では使って問題ありません。

「元旦の朝」

「元旦」の「旦」という字は、地平線(一)から太陽(日)が昇る様子を表した象形文字。つまり「元旦」=「元日の朝」を意味します。「元旦の朝」は「朝の朝」になってしまいます。

❌ 元旦の朝、初日の出を見に行った。
✅ 元旦、初日の出を見に行った。

「射程距離」

「射程」は「弾や矢の届く距離」という意味なので、「距離」をつけると重複します。

❌ この兵器の射程距離は長い。
✅ この兵器の射程は長い。

使い分けクイズ!二重表現はどれ?

以下の問題には、二重表現が含まれているものがあります。

よ〜く考えてみてくださいね!

【第1問】

次のうち、二重表現はどれでしょう?

A.「必ず確認してください」

B.「必ず必要な手順です」

C.「必ず守るべきルールです」

【第2問】

次のうち、二重表現はどれでしょう?

A.「返事を返す」

B.「返事をする」

C.「返事を送る」

【第3問】

次のうち、二重表現はどれでしょう?

A.「日本に訪れる」

B.「日本に来日する」

C.「日本を訪問する」

答えと解説!

【第1問】正解

B.「必ず必要な手順です」

→ 「必要」の「必」にすでに「必ず〜でなければならない」という意味が含まれています。「必要な手順です」だけで十分です。

【第2問】正解

A.「返事を返す」

→ 「返事」の「返」に、すでに「返す・答える」という意味が含まれています。「返事をする」または「返答する」が自然な表現です。

【第3問】正解

B.「日本に来日する」

→ 「来日」はすでに「日本に来ること」を意味します。「日本に」をつけると重複します。「来日する」または「日本を訪問する」が正解です。

まとめ:「気づき」がいちばんの武器

今回ご紹介した二重表現は、どれも悪意なく、ごく自然に使われているものばかりです。ニュースや書籍の中にも、実はこっそり紛れ込んでいます。

大切なのは、完璧に排除することではなく、「これって重複してないかな?」と一度立ち止まれること

その「気づき」の習慣が、ライターとしての文章力を確実に底上げしてくれます。

語源を知ると、言葉がぐっと面白くなる。そして面白いと思えば、自然と語彙は増えていく。

言葉を仕事にするということは、そういう小さな発見の積み重ねなのかもしれません。


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ABOUT ME
yuka nanami
WEBライター&ブロガー&アフィリエイター&アロマテラピー講師 40歳からは楽しく生きる!をモットーに、色々やってます。会社をクビになったからこそ開けてきた人生。年齢で自分を諦めない。幾つになっても楽しく生きることはできます。